ホルモンバランス異常

Hormonal-imbalance

生理不順

成人女性の生理周期は通常25~45日周期で出血が3~7日間(平均5日間)とされています。
女性の体は約1ヶ月、卵巣から卵子を排出します。これがいわゆる「排卵」です。このとき受精、着床しなければ生理として子宮内膜は、はがれます。

生理不順で悩む女性生理周期は体調やストレス、環境の変化によって左右されることがあり、また個人差もあるのでプラスマイナス7日程度のずれなら心配ありません。長期にわたって、「周期」と「日数」が規則的に来ない「生理不順」の症状があります。

生理不順の種類

過少月経

月経血の量も少なく、2日以内で生理が終わってしまう場合を言います。10~20代にかけての若い女性なら子宮が未熟なことや、卵巣機能が発達していないために卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌が足りないことが原因とされています。
「無排卵月経」の可能性も高いのですが、子宮が成長するにつれ正常な生理になっていくので、あまり心配することはありません。基礎体温表をつけて体のリズムを観察しましょう。

頻発月経

生理周期が24日以内を「頻発月経」といいます。この場合卵胞ホルモンと黄体ホルモンが十分に機能せず卵胞がきちんと発育しないまま排卵してしまったり、黄体ホルモンの分泌が不十分であることが考えられます。初経を迎えて間もない10代と40代半ばからの更年期はホルモンの分泌が不安定になります。この時期に過度なストレスや環境の変化があると、生理周期が乱れる原因になります。
まず、基礎体温表で卵巣の働きを観察したり、血液検査でホルモン値を測定し治療方針を決めます。

過多月経

生理が8日以上だらだら続くのを「過多月経」と言います。月経血の量が多いと貧血気味になり健康が心配されます。
子宮内膜症子宮筋腫などの疑いもあります。過多月経が3ヶ月以上も続くようなら婦人科へ受診しましょう。

無月経

妊娠でないのに生理が3ヶ月以上もこないことを「無月経」と呼びます。その原因は卵巣機能不全や強いストレス(精神的トラブル)、過激なダイエット(身体的トラブル)などと言われています。
無月経になると排卵もしないので卵胞ホルモンの分泌も低下します。無月経を長時間放っておくと子宮が小さくなったり内膜も薄くなるので妊娠しにくくなります。生理がない人は楽だと思わずに婦人科を受診しましょう。

まず基礎体温表をつけて体のリズム観察し生理不順だと認識したら診察を受けましょう。

治療

治療法のひとつに「ホルモン療法」があります。

生理不順の原因のほとんどがホルモンバランスの崩れによるものです。ホルモンバランスの崩れは食生活の偏り、ストレスなどから起こります。ホルモンの体内における量は、生理があるときに大きく変化をします。バランスを崩すということは、ホルモン量の変化が崩れているということになります。このバランスをよくするためにホルモン療法があるのです。
カラダに足りないホルモンを補うことによって、生理を正常にすることができ、周期をコントロールすることができるようになります。ある程度の期間で改善できる人もいれば、そうでない人もいます。気長に治療をするように心がけましょう。

当クリニックでは、西洋医学だけでなく東洋医学(漢方)を含めた処方をしております。

 

月経前症候群(PMS)について

生理前になると、「イライラする」「気分が沈む」「具合が悪くなる」というような症状は、 女性の約80%の方が経験していると言われています。 このような、排卵から生理開始までの時期に現れる身体的・精神的な症状を総じて、 月経前症候群(PMS) といいます。
PMSの症状は人によって様々で、「胸が張る」「下腹部痛」といった身体的なもの、 あるいは「怒りっぽくなる」「悲しくなる」というような精神的なものなど、例をあげればキリがありません。

PMSは、排卵のある(妊娠が可能な)女性であれば、誰にでも起こり得る症状で、決して特別なものではありません。 しかしながら、PMSは生理の周期ごと現れるのですから、非常にわずらわしいものでもあります。 また、症状の度合いも個人差が激しく、症状が現れても、それほど気にならない程度の人もいれば、 逆に日常生活でさえも困難になってしまう人もいます。

月経前症候群は、生理が終われば症状がなくなるという人がほとんどです。生理がくれば、イライラや頭痛も治るからがまんすればいいだろうと思っているかもしれません。しかし、その月経前症候群が出ている間は、少なくともイライラしたり、集中力がかけていたりする場合もあります。

治療

治療法には主に低用量ピルというものがあります。

ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンを両方含んだ薬で、ピルを服用すると排卵がストップし自身のホルモン分泌が低下します。 その為、月経前症候群独特の症状が出なくなるという事になります。しかし、服用した人すべての症状を改善するものではありません。しかし、かなりの身体的症状が緩和されますので、試してみる価値はあると思われます。
また、程度に応じて漢方薬や安定剤(SSRI)を処方しています。


近年安定剤(SSRI)の副作用が大きく軽減し、有効な治療効果を上げております。
当院では積極的に安定剤(SSRI)の他剤併用療法も行っております。

生理痛について

女性なら誰もが経験する悩み…我慢していませんか?
生理痛でお悩みの女性毎月、生理がやってくるたびに「生理痛がつらくて・・・」とゆううつになる女性も多いのではないでしょうか。生理痛は、生理の期間に起こる下腹部、腰痛など骨盤を中心とした部位の痛みのことで、生理が始まった初日から2~3日目にピークを迎えます。
お腹が張ったりズキズキ痛んだり、腰を重たく感じたりと、その症状は人によって様々。また、症状の重さにも個人差があり、普段の生活に支障をきたすほど症状が重い場合は月経困難症と言う病気かもしれません。

痛み以外にも吐き気や食欲不振、下痢、頭痛などの症状が同時にあらわれることも多く、月経困難症の女性にとって生理の期間はとてもつらいものとなります。
月経困難症には2種類あり、ひとつは原因となる病気があるために起こる「器質性月経困難症」、もうひとつはとくに原因となる病気がないのに起こる「機能性月経困難症」です。

器質性月経困難症

体の臓器(子宮など)に病気があるために起こる月経困難症。
原因となる病気には子宮内膜症子宮腺筋症子宮筋腫などがあります。

機能性月経困難症

体の臓器に原因はなく、 プロスタグランジン というホルモンの影響で起こる月経困難症。

原因

子宮口が成長していない

生理は、毎月一定の周期で行われる子宮内膜の剥離出血です。卵子が受精しなかった子宮内膜がはがれ、子宮口から血液とともに排出されます。妊娠、出産経験のない若い女性は子宮口が狭く、血液がスムーズに流れないと下腹部痛や腰痛などの生理痛が生じるのです。

子宮の収縮度が強い

20代後半からの痛みは、子宮内膜から出る「プロスタグランディン」というホルモンが体質的に多いことが考えられます。
このホルモンは、子宮を収縮させて月経血の排出を促す働きがありますが、分泌が多いと子宮の収縮度が強くなり痛みが生じます。
このプロスタグランディンは、本来出産時に大量に分泌されて陣痛を起こすものです。子宮はたとえ妊娠していなくても出産用のホルモンの分泌により、毎回陣痛のような収縮を行っているのです。

体の冷えから血液がスムーズに流れない

冷房や薄着などから体が冷えて血流が悪くなると生理痛がひどくなることがあります。また、体を冷やさないために月経中は冷たい飲み物や果物、生野菜などの食物は避けましょう。

自分の生理痛のタイプを知ることは、正しい治療をうけるためにとても大事なことです。
自己判断するのではなく、まずは受診して正しく診断してもらいましょう。

 

 

監修者情報

産婦人科医師 杉浦智子

 

専門医

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