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卵巣腫瘍について
2014年12月26日
☆どんな病気??
排卵のたびに傷つき、修復をくり返している卵巣は、からだの中で最も腫瘍が発生しやすい臓器です。問題はその腫瘍が良性か悪性かの鑑別ですが、これには腫瘍の種類が関係します。
卵巣腫瘍は、大きく「嚢胞性腫瘍」と「充実性腫瘍」の2つのタイプに分けられ、嚢胞性腫瘍は、卵巣嚢腫と呼ばれます。卵巣嚢腫は卵巣の中に分泌液がたまって腫れてくるもので、卵巣腫瘍全体の9割を占めます。
卵巣嚢腫にはネバネバしたゼリー状の液体が入った偽ムチン嚢腫、水のようなサラサラした液体の入った漿液性嚢腫(しょうえきせいのうしゅ)、脂肪、筋肉、骨、毛髪などを含んだ類皮様嚢腫があり、そのほとんどが良性に経過します。
しかし、漿液性嚢腫ではまれに悪性の部分が隠れていることがありますし、皮様嚢腫も成分の一部が悪性に変化する場合があります。
一方の充実性腫瘍は、中に組織が詰まったコブのように硬い腫瘍です。良性型もありますが、80~90%は悪性の卵巣がん、あるいは良性と悪性の境界型です。
卵巣腫瘍は、内診や触診、超音波検査など、通常の婦人科検診で見つけることのできる病気です。発生部位や大きさ、内容物の種類など、超音波だけでもかなりの病態をつかむことができます。
判断が難しければ、採血して腫瘍マーカー(卵巣から生じる物質)を調べたり、さらにCTやMRIなどの画像検査を行って良性か悪性をしぼり込んでいきます。しかし、100%正確な診断をくだすには、最終的に腫瘍を摘出し、組織検査を行うしかありません。
腫瘍の成長とともに、本来はうずらの卵大の卵巣が大きくなっていきます。腫瘍の種類にもよりますが、大きなものではグレープフルーツ大、ときには人間の頭大ほどの大きさになる場合もあります。
卵巣は沈黙の臓器といわれ、腫瘍はあっても、小さいうちはほとんど自覚症状がありません。症状が出てくるのは、卵巣が握りこぶし大(6~7cm)くらいになってからで、下腹部がふくらみ、服のウエストがきつくなったり、張ったような違和感を覚えたり、皮膚の上からしこりに触れたりするようになります。
また、大きくなった卵巣が周囲の組織を圧迫するようになると、下腹部痛や腰痛、頻尿、月経痛などの症状も生じます。合併症として、腹水(おなかに水がたまる)や胸水(肺に水がたまる)が出てくることもあります。
☆アドバイス
卵巣腫瘍はそんなに多く見られる疾病では有りません。
また、自覚症状の出にくいという特徴もあり発見が遅れがちな疾病です。
自覚症状が無くても、
30歳を過ぎたら年に1回は婦人科検診を受けて下さいね。
腫瘍の有無、早期発見が大事な疾病です。